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試製耐核戦車オブィェクト279「トロヤノフ」
まず写真を見ていただきたい。
一見して目を引く4列履帯、極限的な被弾経始。そして長大な130mm砲。
これが核戦争下での活動を可能とするべく開発された試製耐核戦車Obiekt279である。
結果的にT−10が最後のソ連重戦車となったわけだが、重戦車という思想はその後も途絶えたわけではなく、1955年、その後継車輌としてObiekt277とObiekt279という二種類の試作車の試験が行われた。
主な特徴は、どちらもIS−7重戦車のために開発された130mm砲(海軍の砲が原型だったかな?)の改良型を主砲とし、長距離でも正確な測距のできる光学レンジファインダーを装備したということである。
新型砲塔はそれまでの流れをくんだ3人用の砲塔で、上下像合致式レンジファインダーを装備、装填手のために装填補助機構を内蔵しており、赤外線暗視装置も装備していた。
二つの試作車輌の砲塔はほとんど同じであったが、車体が全く異なっていた。
すなわち、Obiekt277はT−10のシャーシを延長した特に目新しい点の無いものであったが、L・S・トロヤノフをリーダーとする設計チームによるObiekt279の車体は写真のとおり、怪しすぎるシロモノだったのだ。
トロヤノフのObiekt279は、核戦争下の戦闘を考慮したデザインとなっていた。
1953年より、ソ連陸軍は、数回にわたって核実験に参加、爆心地に数種類のデザインの戦車を置いた。
1954年9月、選別された部隊が参加した特殊な核爆弾のテストが、トツコイエ地区で行われた。
このテストの結果、爆心地の近くにいる戦車は爆発後の衝撃波によってしばしば転覆や横転することが判明した。
ただ、転覆しても戦車の機能そのものはそのままであり、転覆さえしなければ戦闘が可能な状態であったため、戦術核兵器の爆心の近くでも、運用できる戦車が要求されることとなった。
この要求に応えるべく、トロヤノフは履帯の接地面を広く、そして車体を低めて重心を下げ(油圧サスペンションを装備)、さらに爆風を効果的に逃がすよう空気力学に基づく設計とした。
これによりObiekt279は、爆風を上手く受け流して転覆を避け、乗員の放射能被爆を減らすことを可能とした。
油圧式のサスペンションは4組の走行装置で構成され、片側2組の走行装置は、主燃料タンクのある中央のコア部に取り付けられている。
車体の輪郭部に存在する多くのデッドスペースは対放射線物質の挿入に用いられた。
重さ60tと重量級ながら1000hpの12気筒ディーゼルにより50q/時以上の速度が発揮できた。
試作車の審査は、見た目の新しさから合格したが、生産に際しては戦車の車体構造があまりに高価なため、部隊配備されることはなかった。
試製耐核戦車オブィェクト279・性能諸元
主砲:130mm
エンジン:12気筒ディーゼル1000hp
本文協力:カチューシャ氏
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